観葉植物はエコ・プラントやエコ・グリーンと呼ばれることもあり、室内の空気を浄化する効果があると言われています。その能力の高さはNASAの研究でも実証され、シックハウス症候群にも効果があるといいます。さらに植物の蒸散作用で天然の加湿効果も。
キレイな空気の価値が高まっている昨今、“インテリア”、“空気清浄機”、そして“加湿器”の役割も担う、観葉植物を取り入れてみませんか?どの品種を選べば良いかわからない方のために、空気をキレイにする観葉植物のおすすめ10選をプロに聞きました!
空気をキレイにするエコ・プラント
観葉植物の空気浄化効果は、有名なNASA(アメリカ航空宇宙局)が行った25年にも及ぶ研究で裏打ちされています。NASAは研究の結果、観葉植物の中でも特に空気浄化効果が高い植物50種を「エコ・プラント」と名付けました。そして、エコ・プラントには、シックハウス症候群の原因とされている代表的な有毒ガス(ホルムアルデヒド、ベンゼン、トリクロロエチレンなど)も浄化する力があると言います。
私たちが暮らしている室内空間には、建材や壁紙、室内装飾などからごく微量の有毒ガスが放出され続けていますが、それらを浄化してくれる強い味方なんです。
空気浄化のメカニズム
では、観葉植物はどうやって有毒ガスを浄化して空気をキレイにしているのでしょうか。そのメカニズムを簡単に説明します。
まず、葉の気孔から有毒ガスを含んだ空気を取り入れ、有毒ガスの約30%を葉で吸収します。残りの約70%は根に運ばれ、根の周りにいる微生物が吸収分解します。つまり、観葉植物がごく自然に行っている呼吸や光合成が空気浄化の活動になっているということですね。
日本で育てやすいエコ・プラント10選
サンスベリア
育てるのが簡単なため初心者向け。害虫に強く、虫が付くことが少ないです。珍しい特徴としては、夜間に二酸化炭素を吸って酸素を作り出してくれる点があります。また、マイナスイオンの放出量も多いため癒しの観葉植物として人気です。水のやり過ぎによる根腐れには注意です。
温度管理:普段は10℃以上、越冬は最低8℃以上
花言葉:永久・不滅
ドラセナ・マッサン(幸福の木)
インテリアや贈り物として、とても人気のある品種。明るい室内を好みますが、暗めの場所でも耐えられるのでインテリアグリーンに最適です。エコプラントとしても優秀で、待機中に水蒸気を放出して加湿する蒸散作用や、有害物質の除去能力があり、室内の空気を浄化してくれます。
温度管理:普段は10℃以上、越冬は最低7℃以上
花言葉:幸福
アレカヤシ
葉が羽状に広がる華やかな見た目が特徴的。ヤシ科のなかでも上品な雰囲気なので、家庭だけでなくオフィスやお店でも人気。室内管理に向いており、大気中に多くの水分を放出し、有害物質を除去する効果が高いと言われています。NASAの実験によると、高さ1.8mのアレカヤシが24時間で約1リットルの水分を蒸散します。
温度管理:普段は8℃以上、越冬は最低6℃以上
花言葉:元気、勝利、成功
観音竹
艶のある掌状の葉が美しい観音竹は、ヤシ科の中でも特に育てやすい品種のひとつ。アメリカで人気が高く、広く栽培されています。害虫への抵抗力が強く、栽培も簡単。有害物質の除去能力や、部屋の冷却に効果がある蒸散も活発です。
温度管理:普段は10℃以上、越冬は最低7℃以上
花言葉:スマートな淑女、日々の平和
へデラ
気根(きこん)と呼ばれる根から茎を伸ばし、壁や木を這い上がります。様々な色や形の品種があり、用途が広いので、ハンギングバスケットやグランドカバーにも向いています。害虫に強く蒸散作用も高いエコプラント。有害物質のなかでもホルムアルデヒドの除去に効果的です。高温に弱い点に注意が必要。
温度管理:普段は7℃以上、越冬は最低3℃以上
花言葉:永遠の愛、友情
ボストンタマシダ(ネフロレピス)
地球最古の植物のひとつと言われているシダ類の一種。有害物質の除去、特にホルムアルデヒドの除去効果が高く、室内に水分を補給する蒸散作用もトップレベルです。高温と乾燥が苦手なので、こまめに水やりと霧吹きをしてあげましょう。ハンギングや台の上などの高いところに飾ると、特徴的な美しくなだれる葉を鑑賞できます。
温度管理:普段は7℃以上、越冬は最低5℃以上
花言葉:愛らしさ、誠実
スパティフィラム
花が咲く観葉植物という珍しさ、独特な仏炎苞の美しさで人気が高い品種。華やかな見た目に劣らず、空気浄化効果も高いので魅力的です。ホルムアルデヒド、ベンゼン、アセトンなど数種類の有害物質を除去する効果が認められ、害虫に強く栽培が容易です。高い蒸散効果も魅力的ですが、その分水を好むので水の管理が大切。水耕栽培にも適しています。
温度管理:普段は8℃以上、越冬は最低7℃以上
花言葉:清らかな心、清々しい日々
ポトス
黄色の班が美しく、お手入れが簡単なことから、日本で最も流通しているエコ・プラントの一種。害虫に強く、成長力があり、挿し木で増やすことも容易です。そのため、エコ・プランツの中でも群を抜いて育てやすいと言われています。日光が不足すると班が消える観葉植物が多い中で、ポトスは光不足でも班が消えにくいです。植物を育てることに慣れていない初心者にも取り入れやすい品種です。
温度管理:普段は10℃以上、越冬は最低7℃以上
花言葉:永遠の富、華やかな明るさ
シンゴニウム
葉に美しい斑が入る品種が多く、家庭からオフィスやお店まで幅広い人気を誇ります。害虫に強く栽培が簡単。蒸散作用や空気の浄化作用も高いエコプラントです。ハンギングなどでよく育てられるシンゴニウムは、湿気が高い状態を好みます。そのため、時々霧吹きしてあげると元気に育ちます。また、葉が大きいのでホコリを取り除く意味も兼ねて、濡らした布で拭いてあげるのもGOODです!
温度管理:普段は10℃以上、越冬は最低7℃以上
花言葉:平和の祈り、喜び
ベンジャミン
公共スペースで見かけることが多いベンジャミン。空気をきれいにする観葉植物の代表的な品種です。生育場所の環境になじむまで少し時間がかかりますが、一旦その環境に慣れてしまうと非常に育てやすくなります。特筆すべきは高い空気浄化効果。特にホルムアルデヒドの除去効果はかなり高いと言われています。また、樹の形を、自然な樹形からスタンダード仕立て、三つ編み仕立てなど、自分の好みにできるのも魅力的です。
温度管理:普段は10℃以上、越冬は最低8℃以上
花言葉:融通のきく仲間、信頼
他にもある!観葉植物のメリット
このように空気の浄化作用や加湿器の役割も果たす観葉植物ですが、その他にもカビやバクテリアを抑制する効果もあります。元々植物が空気中の微生物から身を守るために出すフィトケミカルという物質が、人間や部屋にも効果を発揮するのです。
さらに、観葉植物はインテリアとして部屋をおしゃれにしてくれますし、眺めることでリラックス効果もあります。そして植物を育てること自体に楽しみがあります。日本で流通している品種は基本的に育てやすいので、初めてで不安という方も、ぜひ挑戦してみてくださいね。